パーソナルジムの損益分岐点を計算する
開業前に**「月に何セッション売れば黒字になるか」**を明確にしておくことが、経営継続の絶対条件です。本記事では実数値ベースで損益分岐点の計算方法を解説します。
損益分岐点の基本式
損益分岐点売上高 = 固定費 ÷(1 −(変動費 ÷ 売上高))
パーソナルジムは変動費がほぼゼロに近いため、シンプルに:
損益分岐点売上高 ≒ 固定費
つまり「月の固定費」をカバーできる売上が立てば黒字化します。
パーソナルジムの月固定費(標準モデル)
| 項目 | 金額(月) |
|---|---|
| 賃料 | 150,000円 |
| 水道光熱費 | 30,000円 |
| 通信費 | 10,000円 |
| 機器リース | 20,000円 |
| 広告費 | 30,000円 |
| 雑費・消耗品 | 10,000円 |
| 合計 | 250,000円 |
→ 月25万円が損益分岐点(最低限稼ぐ必要がある金額)
セッション数で計算
時間単価7,500円のパーソナルジムで考えると:
| 売上目標 | 必要セッション数 | 顧客数(週1回ペース) |
|---|---|---|
| 25万円(損益分岐点) | 31本/月 | 8人 |
| 40万円(手取り12万円) | 50本/月 | 12〜13人 |
| 60万円(手取り30万円) | 75本/月 | 18〜19人 |
つまり最低8人の顧客が継続的にいれば赤字回避ができます。
開業初月から黒字化する戦略
結論:開業前に8人の予約を確保しておく
開業前にやること
- オープン3ヶ月前:SNS発信開始、開業予告
- 開業2ヶ月前:体験トレーニング枠を予約受付
- 開業1ヶ月前:プレオープン期間を設けて体験者を獲得
- 開業月:体験者の入会率50%以上を目指す
体験者20名を集められれば、入会率50%で10名獲得。月25万円の壁を超えられます。
客単価を上げる仕組み
セッション単価を上げる以外に、月額継続課金で安定化を図るのが王道。
| プラン | 月額 | 1回あたり |
|---|---|---|
| スタンダード(60分)月4回 | 32,000円 | 8,000円/回 |
| スタンダード(60分)月8回 | 60,000円 | 7,500円/回 |
| ライト(30分)月4回 | 18,000円 | 4,500円/回 |
| ライト(30分)月8回 | 33,600円 | 4,200円/回 |
| 食事管理オプション | +13,200円/月 | LINE食事報告+AI |
月8人の継続客で平均40,000円ずつ得られれば月32万円。これだけで損益分岐点はクリアできます。
変動費がかかるケース
完全な変動費ゼロではないジムもあります。
- カウンセリングギフト・サンプル提供:1人あたり1,000〜3,000円
- トレーナーへの業務委託費:売上の50〜60%
- 顧客管理ツールの従量課金:人数に応じて増加
業務委託トレーナーを雇う場合、売上の50%を支払うため、損益分岐点が倍になることに注意。
赤字シミュレーション:無策で開業した場合
- 開業初月:顧客3人 × 4回 × 7,500円 = 90,000円
- 固定費:250,000円
- 赤字:−160,000円
これが3ヶ月続くと約50万円のキャッシュアウト。6ヶ月分の運転資金(150万円)は最低限手元に確保しておく必要があります。
黒字化までの目安
| 月 | 想定顧客数 | 売上 | 損益 |
|---|---|---|---|
| 開業1ヶ月目 | 5人 | 14万円 | −11万円 |
| 開業3ヶ月目 | 10人 | 28万円 | +3万円 |
| 開業6ヶ月目 | 15人 | 42万円 | +17万円 |
| 開業12ヶ月目 | 20人 | 56万円 | +31万円 |
3〜4ヶ月目に黒字化、6ヶ月目に投資回収開始が現実的なペースです。
まとめ
損益分岐点は**「月の固定費」で覚える**のが最もシンプル。25〜30万円が標準的なライン。開業前に8人の見込み客を確保し、開業3〜4ヶ月目までに黒字化を目指しましょう。6ヶ月分の運転資金確保は必須条件です。