必ず作るべき会員契約書
パーソナルジム経営で意外と軽視されがちなのが会員契約書。トラブルになってから「契約書がない」では取り返しがつかないため、開業前に必ず整備しておきましょう。
契約書がないと起こるトラブル
実際に多いトラブル例:
- 「3回しか来てないのに返金しろ」と言われた
- セッション中の怪我で損害賠償請求された
- 体験だけのつもりなのに勝手に課金されたと主張された
- ノーショウ(無断キャンセル)が頻発する
- 解約時に「規約にない」と言われた
口頭の合意では裁判で勝てないこともあり、契約書は経営の保険です。
必ず盛り込むべき10項目
1. 契約者情報
- 会員氏名・住所・電話・生年月日・緊急連絡先
- 既往歴の確認(医師の許可を得ているか)
2. サービス内容と料金
- 提供サービスの詳細
- 月額・回数券・追加料金の明記
- 支払い方法・支払い日
3. 契約期間と更新
- 契約期間(多くは1ヶ月単位 or 2〜6ヶ月)
- 自動更新の有無
- 更新手続き方法
4. クーリングオフ条項
特定商取引法に基づく8日間のクーリングオフを必ず明記:
第◯条(クーリングオフ) 本契約締結後8日間以内であれば、書面にて契約解除が可能です。 解除に伴う返金額は支払い済み金額の全額とします。
5万円以上・1ヶ月超の契約はクーリングオフ対象です。
5. 解約・退会条項
- 解約予告期間(多くは1ヶ月前)
- 解約方法(書面・LINE・メール)
- 残り回数券・前払い金の取扱い
- 中途解約時の返金規定
6. キャンセルポリシー
| キャンセルタイミング | 取扱い |
|---|---|
| 24時間以上前 | 無料変更可 |
| 24時間以内〜2時間前 | 50%消化 |
| 2時間以内 or 無断 | 100%消化 |
この規定がないとノーショウし放題になります。
7. 個人情報の取扱い
- 取得目的(連絡・サービス提供・分析)
- 第三者提供の有無
- 写真・成果情報の使用範囲
Before/After 写真を使うなら、必ず別紙で承諾書を取りましょう。
8. 損害賠償・免責事項
最重要項目:
第◯条(免責事項) 当ジムでのトレーニング中に発生した事故・怪我については、 当ジムの故意または重大な過失による場合を除き、 当ジムは責任を負わないものとします。
会員は自身の健康状態を考慮し、自己責任のもとで トレーニングに参加するものとします。
ただし完全免責は無効になる可能性があります。賠償責任保険への加入は必須。
9. 禁止事項
- 他会員への迷惑行為
- 商業行為(ジム内での勧誘・販売)
- アルコール・薬物使用後の利用
- トレーナーへのハラスメント
これに違反した場合の強制退会条項も入れる。
10. 反社会的勢力の排除
近年は必須項目。簡単な文言で構いません:
会員が反社会的勢力に該当することが判明した場合、 直ちに契約解除できるものとする。
会員契約書テンプレ(骨子)
パーソナルジム会員契約書
本契約は、◯◯(以下「当ジム」という)と
会員(以下「甲」という)との間で締結する。
第1条(目的)
本契約は、甲が当ジムの提供するパーソナルトレーニング
サービスを利用する条件を定めるものとする。
第2条(料金)
1. 甲は、別表に定める料金を所定の日に支払う。
2. 支払い方法は◯◯とする。
第3条(契約期間)
1. 本契約の期間は、契約締結日より1ヶ月とする。
2. 契約満了の1ヶ月前までに書面による解約申し出が
ない限り、自動的に1ヶ月延長される。
第4条(クーリングオフ)
契約締結後8日間以内であれば、書面にて契約解除が可能。
全額返金する。
第5条(解約)
1. 甲は1ヶ月前までに書面で解約申し出ができる。
2. 既に支払い済みの未消化分については別表に従って
返金する。
第6条(キャンセル)
[キャンセルポリシー詳細]
第7条(免責事項)
[損害賠償・免責の詳細]
第8条(個人情報)
[個人情報の取扱い詳細]
第9条(禁止事項)
[禁止事項一覧]
第10条(反社会的勢力の排除)
[反社条項]
[署名・日付欄]
弁護士に確認すべきか
できれば弁護士チェックを推奨。費用は1〜3万円程度。
| 確認方法 | 費用 |
|---|---|
| 顧問弁護士に依頼 | 月3〜5万円 |
| スポット相談 | 1回1万円〜 |
| ココナラ等のスポット | 5,000円〜 |
| 弁護士なしで運用 | 0円(リスク高) |
訴訟リスクを考えれば、初期に1〜3万円かけて契約書をチェックするのは費用対効果が高い投資です。
契約書の運用ルール
1. 紙 or 電子で必ず2通
- 1通は会員に渡す
- 1通はジム保管(最低5年)
2. クラウド管理(推奨)
- Google Drive・Dropbox等で電子データ保管
- 改ざん防止のためタイムスタンプ付与
3. 改定時の通知
契約書を改定する際は:
- 全会員にLINEまたはメールで通知
- 改定後のサインを再取得
- 旧契約書は5年保管
賠償責任保険の加入
契約書に加えて、賠償責任保険は絶対に加入してください。
| 保険種別 | 保険料 | 補償額 |
|---|---|---|
| 個人事業主向けの賠償責任保険 | 月3,000〜8,000円 | 1〜3億円 |
| ジム業界団体保険 | 年1〜3万円 | 1億円〜 |
| 任意団体保険(NESTA等) | 年5,000円〜 | 数千万円 |
最低でも1億円補償の保険に加入を強く推奨します。
まとめ
会員契約書は経営の盾です。トラブルになってから作っても遅い。開業前に最低限のテンプレートを作って弁護士チェックを受け、賠償責任保険にも加入しましょう。費用は3万円程度で済むのに、訴訟リスクは数百万〜数千万円。投資対効果は圧倒的です。